引退まで試合では吐き続け…小谷野栄一さん語るパニック障害
札幌の自宅に小児がんを患う子供を慰問したことも力になりました。園児たちの前でもめまいを起こし、マネジャーに支えられたほどだったのですが、小さな体で大病と闘う子供を目にしたら、「自分は情けない。この子たちに恥じない行動をしよう。やるしかない」と前向きな気持ちに切り替わったんです。
幸い、球団が翌年も契約してくれて、一軍で結果が出せるようになり、去年まで現役を続けることができました。多くの方々に助けられ、幸運にも恵まれました。つらい時、「弱ぇからだよ」と心ない言葉を投げてきた人もいましたけど、「必ず勝つ!!」と、かえって力になったと思います。
再びグラウンドに立ってからも、パニック障害の症状が消えたわけではありません。引退するまで、試合の日はほぼ毎日、心臓がバクバクで、呼吸の仕方もわからなくなって苦しくなり、吐き続けていました。
シーズン中、選手は練習して、セカンドアップして、ノックを受けてから試合に臨むんですが、僕だけその後に「サードアップしてくるわ~!」と言って、ひとりでトイレに行きオェーッと。試合前の6~7時間は何も口に入れていないので、胃液か、喉が切れて血を吐く……という感じでした。