【赤痢アメーバ症】先進国では“夜の生活”が感染源になる
■粘血便には要注意
発展途上国では汚染された飲食物を口にして感染する可能性が高いため、途上国の帰国者によく見られるが、衛生環境が整備されている先進国での飲食物を介した感染は比較的少ない。先進国で増えているのは性交による感染だ。
「先進国では男性同性愛者(MSM)間の感染が流行していて、それは日本国内でも同じです。ただし、米国のMSM間で流行しているのは非病原種であるのに対して、日本で流行している原虫の多くは病原種です。国内での報告は2013年以降、1000例を超えて横ばいですが、その多くはMSM症例とみられています」
赤痢アメーバ症の大腸炎症状は、きちんと他の病気と鑑別することが重要になる。他の大腸疾患と誤診されてステロイド薬を使われると、症状を増悪させ、穿孔(せんこう)性腹膜炎を合併させてしまう恐れがあるからだ。治療は抗原虫薬が用いられる。通常、治療後2~3カ月以上症状の再発がなく、糞便中に原虫が検出されなければ治癒と判定されるという。性感染症としての心当たりがあれば、まずは感染症専門医を受診しよう。