著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

乳がん<8>術後薬物療法 期間は「5年」から「10年」推奨に

公開日: 更新日:

 乳がん患者の大半は、数カ月間の術前薬物療法を経て、ようやく手術にこぎつけます。しかし部分切除を受けた患者と、全切除で腋窩リンパ節郭清も必要だった患者には、さらに3~5週間にわたる放射線治療が待っています。それだけでは済みません。放射線の有無に関わらず、全員に「術後薬物療法」が行われるのです。

 再発リスクが高いと判定された患者には、抗がん剤が使われます(期間は3カ月から6カ月)。腫瘍サイズやリンパ節転移の程度、Ki69(乳癌の増殖速度に関する指標)、年齢などによって、リスクが評価されます。またHAR2陽性患者には、ハーセプチンなど分子標的薬も併用されます。

 抗がん剤の有無に関わらず、ホルモン受容体陽性の患者全員に対して、ホルモン療法が強く推奨されています。使われる薬は術前のときと同じ、閉経前ならタモキシフェン、閉経後ならアロマターゼ阻害薬が第一選択となります。

 しかし問題はその期間です。

 ガイドライン初版(2004年)では「術後5年間」とされていました。ところが最新版(2018年版および追補2019)には、浸潤性乳がん(ステージⅡの一部とステージⅢ)に対しては、タモキシフェンを5年投与したのち、さらに5年間追加(計10年間)することを「強く推奨」しています。あるいは最初の5年間のうちに閉経した場合は次の5年間はアロマターゼ阻害薬、最初から閉経している患者は最初からアロマターゼ阻害薬を合計10年間となっています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    俳優・山口馬木也さん「藤田まことさんは『飲め、飲め』と息子のようにかわいがってくれた」

  2. 2

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  3. 3

    テレ朝ナスD“経費横領&パワハラ処分”に「見せしめ」の声も…家族団らん投稿の美人料理家妻に同情集まる

  4. 4

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  5. 5

    東原亜希の“黒帯バスローブ密会”乗り越えた「許す力」は佐々木希以上? 経済的自立も目指す強心臓とたくましさ

  1. 6

    料理研究家の森崎友紀 “本業”専念も恋愛は「年も年なので」

  2. 7

    兵庫県パワハラ知事に残った選択肢は「議会解散」のみ…多数派工作で延命図るか?味方は“情報漏洩3人組”のみ

  3. 8

    あす旧統一教会に解散命令か? N国党に急接近の不気味、タダでは転ばない悪あがき

  4. 9

    巨人の“アキレス腱”は絶対的セットアッパーが使えないこと…新助っ人キャベッジで外国人枠「満員」

  5. 10

    佐々木希が「芸能人格付けチェック」で"地雷キャラ"といじられ…夫・渡部建を捨てないもう1つの理由