回復率は約60% 重症者の最後の砦「ECMO」の仕組みと限界
現在、ECMOの世界の標準的な成績は離脱率69%、救命率60%といわれているから、ほぼ世界水準に達しているということになる。
■65~70歳以上は一般的に適応外
「ただし気を付けなければならないのは、これはECMOを適切に運用できる経験豊富な医師や、日常的に訓練された看護師、臨床工学技士などのスタッフがいてこそ実現できる数字だということです。現在の日本でこの数字を実現できる医療機関は全国で数カ所といわれています」
しかも、すべての重症患者がECMOの適応になるわけではない。
「日本集中治療医学会など7学会、1研究会が先月24日に公表した『COVID―19 急性呼吸不全への人工呼吸とECMO基本的注意事項』によると、年齢が65~70歳以上は予後が悪いので、一般的には適応外となっています。また、末期がん、慢性心不全、慢性呼吸不全、その他、重度の慢性臓器不全の患者さんは予後が悪いので、適応には慎重さが求められます。また、人工呼吸器を7日間以上行った後にECMOを使っても予後が悪い、とされています」