著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

高齢者の心不全対策…SGLT2阻害薬が救世主になるか

公開日: 更新日:

糖尿病でなくても心不全予防に役立つ

 これまでは、糖尿病の薬は血糖値を下げるものの、心不全に関しては予防効果が見られませんでした。薬によっては、かえって心不全のリスクを高めるものもありました。日本で広く使われているDPP―4阻害薬も、心不全予防効果があるのではないかと期待されましたが、結局、抑制効果を証明できず、むしろ心不全が増えるという結果が出ています。

 ところが、血液中の過剰な糖を尿に積極的に排出して血糖値を下げるSGLT2阻害薬という糖尿病治療薬の研究で、画期的な結果が出ました。この薬を服用すると、血糖降下作用だけでなく、心不全予防にも役立つことが分かったのです。

 さらに糖尿病や心疾患の専門医の注目を集めたのは、糖尿病患者の心不全リスクを下げるばかりか、糖尿病でない人の心不全のリスクを下げるという結果も出たことです。この薬は、ナトリウムの再吸収を抑える作用もあり、血圧低下にも効果があります。

 ただし、SGLT2阻害薬は高齢者に出しにくい薬なのがネック。その理由はまず、服用し始めて最初のうちは利尿作用が強く出るため、脱水症状を起こすかもしれないこと。高齢者は渇きを感じにくく脱水症状を起こしていても気づきにくい。水分を取りすぎると、腎臓にダメージを与えることもあるので、さじ加減が難しい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」