受精に「PH」の攻防あり 意外に知らない“ガマン汁”の役割
酸性とアルカリ性の度合いは「pH(ペーハー)」という単位で表します。pH7を「中性」とし、それ未満を「酸性」、それより高ければ「アルカリ性」としています。
人の健康な皮膚表面は、pH4.5~6の弱酸性といわれます。これは皮膚表面にいる常在菌が皮脂腺から分泌された皮脂の脂肪酸を分解することで、肌のバリアー機能となる弱酸性の皮脂膜が保たれているのです。
このpHは、人の受精にも大きく関係しています。健康な人の尿はpH6~6.5前後ですので、尿道も弱酸性になります。しかし、男性の尿道は酸性の環境に弱い「精子」も通ります。そのため射精の前に、尿道を一時的にアルカリ性の環境に変える必要があります。その役割を担っているのが通称「ガマン汁(先走り汁)」です。
ガマン汁は、尿道の途中にある「尿道球腺」から分泌される弱アルカリ性の液体で、医学的には「尿道球腺液(カウパー腺液)」と呼ばれます。このガマン汁によって尿道がアルカリ性に変化し、さらに精子は弱アルカリ性の精液(pH7.2~8)に守られて出てくるのです。