マスクで口呼吸になると…血流悪化で体調不良になる可能性

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 もうすぐ夏本番。マスクをしたまま過ごす、初めての夏になりそうだ。暑いときに常時マスクをつけていると、呼吸に息苦しさを感じる。このとき注意すべきは、息苦しさを解消するため、知らず知らずのうちに「口呼吸」になってしまうこと。マスク着用時は口呼吸になる割合が高くなることがわかっている。

「口呼吸のデメリット」はこれまでにも多くの医療関係者が指摘してきた。ざっとまとめると以下のような報告がある。

●空気が鼻の粘膜を通らないため、ウイルスや細菌をそのまま吸い込んでしまう。
●冷たく乾いた空気が、肺の細胞にダメージを与えてしまう。
●浅い呼吸になるため、自律神経のバランスを乱してしまう。
●その結果、血流悪化を引き起こし、さまざまな心身のトラブルを引き起こす。


 そもそも人間以外の哺乳類は口呼吸をしない。人間は話し始めてから、口呼吸をするようになった。しかし、食事は口から、呼吸は鼻からするのが、正しい体の使い方なのだ。

 順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は、著書「自律神経を整える『長生き呼吸法』」で、鼻呼吸には口呼吸にはない大きな健康効果があることを指摘している。

「人間の鼻の気道(副鼻腔)では、一酸化窒素という物質が大量に作られています。そのため、鼻呼吸をすると、空気と一緒に一酸化窒素も肺に送られます。一酸化窒素には血液が酸素を取り込む量を増やしてくれる働きがあるため、鼻呼吸をしたほうがよりたくさんの酸素を体内に取り込めるのです」

■一酸化窒素には抗ウイルスや抗菌の働きも

 一酸化窒素のすごさはそれだけではない。

「一酸化窒素には血管を拡張させる働きがあるため、全身の血流アップに役立ちます。血流の悪化は、細胞の修復機能を衰えさせます。なんとなくダルかったり、疲れやすかったり、体調の悪さを感じられている方は、口呼吸によって血流が不足し、体が活力を失っている可能性があります。また昨今、一酸化窒素には抗ウイルスや抗菌の働きがあることもわかってきました。体内に侵入してきた病原体を退治する、免疫の役割も果たしてくれるのです」(小林氏)

 口呼吸から鼻呼吸に変えるだけで、血流と免疫力の両方を改善できるのだ。マスクで口呼吸になってしまう人は、一刻も早く鼻呼吸に変えるべきだろう。

 呼吸の仕方は習慣化しやすいため、1日1分でも、鼻呼吸を意識的にすることが大切だという。

ポイントは「吐く時間を長くする」こと

 そこで小林氏は、鼻呼吸の習慣が身につく「長生き呼吸法」を考案した。「長生き呼吸法」には基本のやり方に加えて、シチュエーションに合わせた8つのアレンジメソッドがある。今回はその中から、お昼休みに実践してほしい「昼のリフレッシュ呼吸」を紹介する。人ごみから離れ、マスクを外して行ってみてほしい。

【長生き呼吸法「昼のリフレッシュ呼吸」のやり方】
①足を肩幅に開いて立つ。
②両腕を体の横側で肩の高さまで上げる。肘を曲げて指先を上向きに。手のひらは外側へ。
③手の甲を合わせるように体の正面で腕を閉じながら、6秒口から息を吐く
④元の姿勢に戻りながら、3秒鼻から息を吸う
 ※10回行う


「『長生き呼吸法』のポイントは『吐く時間を長くする』こと。『鼻からしっかり空気を吸い込む』ことです。吐く時間を長くすると、横隔膜の動きが大きくなり、副交感神経が刺激され、自律神経のバランスを整えることができます。また、鼻から空気を吸いこめば、血流アップと免疫力アップが期待できます。自律神経、血流、免疫力は、それぞれがそれぞれに影響を与えあっているため、すべてまとめて改善していく『長生き呼吸法』は、医学的にも大変理にかなった呼吸法だと言えます。体に不調を抱えている方は、ぜひ生活に取り入れてみてください」(小林氏)

 新型コロナ対策のためにマスクをしていることが、逆に体調不良につながっていたら元も子もない。マスクを手放せない生活はまだまだ続きそうなので、鼻呼吸の習慣を身につけることが、健康を考える上で大切になってくる。そのためのきっかけとして、「長生き呼吸法」は役立つはずだ。

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