中野 ジェームズ修一
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中野 ジェームズ修一フィジカルトレーナー

1971年、長野県生まれ。多くのアスリートから支持を受けているPTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。株式会社スポーツモチベーション最高技術責任者。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。多くのオリンピック選手や青山学院大学駅伝チームの箱根駅伝連覇を支えるなど、アスリートから絶大な信頼を寄せられている。「100トレ 医師とトレーナーが考えた100年時代の新健康体操」(徳間書店)が発売中。

転倒を防いでいつまでも自分の足で歩くための2つの運動

公開日: 更新日:

「転倒」は骨折して寝たきりになる可能性が高いので高齢者にとっては要注意事項ですが、病気とは違って自分の心がけ次第で予防できるものです。今回は転倒防止に必要な筋肉とバランスを鍛える運動を紹介します。

 転倒は、主に脚が上がっていないか、つま先が下がっていることによる「つまずき」が原因で起こります。ですから、転倒防止には「脚を上げる筋肉」と「つま先を上げる筋肉」を鍛えることが必要です。しかし、実は筋肉がどんなに強靱でも、「小脳」を鍛えなければ転倒防止にならないことが分かっています。脳の一部である小脳は体のバランスをつかさどる部分。歩くことができるのも自転車に乗れるのも、小脳を鍛え、筋肉と連携をとったたまものなのです。

 でも、無意識にできるようになった運動では、もう小脳は鍛えられません。小脳を鍛えるためには、あえてアンバランスな体勢をつくり、それでも倒れないことを目指す運動が必要です。

◆膝上げ(左右10回ずつ)

 椅子から1歩下がったところで椅子と向き合って立ち、片脚を座面に乗せる運動。このときつま先を上げて、かかとで支えるのが重要。万が一バランスを崩したときに支えになる壁やテーブルがある環境で、支えなしで行うといい。

【ポイント】

 脚を上げる筋肉は、腸腰筋といって「ももの付け根」にあります。階段につまずいたりするのは、自分が思うほど脚が上がっていない証拠なので、腸腰筋を意識して運動しましょう。

 つま先を上げる筋肉は、「すね」と「ふくらはぎ」にあります。すねの筋肉が弱っていると、脚を前に踏み出したときにつま先が下を向いてしまいます。一方で、ふくらはぎの筋肉に柔軟性がないとすね側でつま先を持ち上げようとしても、足首の後ろが伸びず上げにくくなります。何でもないところでよくつまずく人は、すねとふくらはぎの運動が足りていないのかもしれません。

 かかとから着いてつま先へと滑らかに地面を蹴るのが理想ですが、ハイヒールや底の硬い靴などではすねの筋肉は使われず、ふくらはぎも縮んだままとなるので、普段からそのような靴を履いている人は年齢とともにつまずきやすくなります。

◆片脚立ちバランス(左右5回ずつ)

 立った状態から片脚のももが床と水平になるまで持ち上げ、5秒間静止してバランスを保つ運動。危ないときに支えがある環境で、支えなしで行うといい。

【ポイント】

 小脳を鍛えるには、不安定さを負荷した運動をすること。今回紹介する運動も動作をゆっくりすればするほどバランスをとるのが難しくなりますし、片腕を上げる、腕を動かす、あるいは目をつぶって行うなどで難易度はグンと上がります。

 私の祖母は、98歳で肺がんを宣告されて余命3カ月と言われ寝たきりでしたが、そこから筋トレをして今103歳で壁に手をついて片脚スクワットを20回できるまでになりました。原動力は「息子の嫁に面倒をみてもらうのが申し訳ない」という思い。今も僕が作った筋トレメニューを毎日1時間、まじめに取り組んでいます。

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