使い勝手は? GLP-1受容体作動薬に世界初の飲み薬が登場
■治療薬の選択肢が増えるのは非常にありがたいこと
ただ、現時点では、飲み薬のGLP―1受容体作動薬が患者さんたちによく使われるようになるのはもう少し先かな、というのが私の印象です。飲み薬というのは利点なのですが、薬の成分の吸収率が胃の内容物で低下するため、飲み方に決まりがあるのです。
それは、「1日のうちの最初の食事、または飲水の前の空腹時に薬を飲み、その後、少なくとも30分間は食事や飲水、ほかの薬の経口摂取を避ける」というもの。朝は、たいていみなさん忙しいですよね。そんな状況で「薬を飲んだ後30分間は食べたり飲んだりできない」のは、なかなか大変です。
糖尿病患者さんは高血圧や脂質異常症など、ほかの生活習慣病を抱えている人も多く、薬を複数種類服用している人も珍しくありません。他の薬の服用も30分間待たなければならないとなると、これまた一層大変です。この薬のために「時間がないから」と朝食抜きにするのは、特に糖尿病患者さんでは、ぜひとも避けてほしいことです。