活動弁士の片岡一郎さん網膜剥離になって「厄年の意味を実感」
網膜剥離になってみて、改めて「厄年」の意味を実感しました。体は有限で、人間生きていれば42、43歳でガタがくるから注意しろよ、という先人の教えなのですね。よくできたシステムだなと合点がいきました。また目が2つ、耳が2つあるのは距離感のためだけじゃなく、スペアとしての意味もあるのかなあと思いました。
もうひとつ驚いたのは、私がブログで「入院しました」と発信した10分後ぐらいに、当時撮影が終わったばかりの映画「カツベン!」のプロデューサーから「大丈夫ですか?」と電話があったことです。「すごいな、プロデューサーはこういう仕事もするのか」と勉強になりました。しかも、「今度の映画は片岡さんにかかっているんですよ」なんて言われたものですから、入院中は非常に気分がよかったです(笑い)。
(聞き手=松永詠美子)
▽片岡一郎(かたおか・いちろう) 1977年、東京都生まれ。高校で演劇を始め、日本大学芸術学部演劇科に入学。在学中に舞台や戯曲を手掛けた後、卒業後は活動弁士の澤登翠に入門。2002年に活動弁士としてデビューし、300作を超える無声映画作品を手掛ける。アメリカやヨーロッパなど海外での活動も多い。2019年公開の映画「カツベン!」では出演と弁士の実演指導に関わり、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺」にも出演。著書に「活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと」(共和国)がある。