著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

インテリのヘンリー8世を暴君にしたのは「梅毒」だった?

公開日: 更新日:

 前回まで豊臣秀吉と徳川家康の「梅毒」への接し方の違いが天下取りに影響した、という話をしてきました。今回は欧州に目を転じてみましょう。

 梅毒が欧州に広まったのはコロンブスの新大陸発見の旅で乗組員が持ち帰ったのが始まり、との説が有力ですが、ハッキリしません。

 ただし、その後欧州で爆発的に増えたのは間違いありません。それ以降、数多くの有名人がこの感染症で亡くなっています。その一人がイングランド史上最も残酷でスキャンダラスな王と呼ばれた「ヘンリー8世」です。6人の女性と結婚・離婚を繰り返し、二人目の妻(エリザベス1世の実母)と結婚する為に離婚を禁じたカソリックの総本山・ローマ協会から離れ、英国国教会を設立。反対する者を容赦なく処分したと言われています。

 ヘンリー8世がただの女性好きなら、結婚などしなくても良かったはずです。しかし、ヘンリー8世には世継ぎがいませんでした。そのため執拗に結婚・離婚を繰り返したようです。

 では、なぜヘンリー8世の妻たちは流産することが多かったのでしょうか?それはヘンリー8世が梅毒に冒されていたからといわれています。若い頃にフランスで罹患したと言われています。実際、3番目の妻はヘンリー8世が心待ちにした王子を生みますが、王子は先天性梅毒のため16歳で亡くなっています。自身も晩年は脚の腫瘍などさまざまな病に苦しんだようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…