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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

強い抗がん剤は口内炎ができやすい 治療前の口腔ケアが大切

公開日: 更新日:

 無菌室で闘病を続けている急性白血病の患者Aさん(17歳・女性)は、抗がん剤治療の終了5日後に口唇と歯肉が赤くなり、口内炎がひどくなってきました。下唇を指さして「痛い」と訴えるAさんに、担当医は「食事は流動のしみないものにしたから、頑張って食べてみてください」と言葉を掛けました。

 ガラス越しにその様子を見ていた父親が「Aは頑張れるか心配です。一段と痩せたように思います」と看護師に漏らすと、看護師は「Aさん、頑張り屋さんですよ。もうしばらくの辛抱です。口腔科も診てくれています」と答えました。

 強力な抗がん剤治療の後は、白血球数が少なくなり口内炎が起こりやすくなります。発熱した時は、抗生剤の点滴補液など重篤にならないようにできるだけの対応を行い、白血球数が戻るまで何とかしのぎます。急性白血病の治療ではこの頃が一番つらい時です。

 Aさんは、その7日後に白血球数が回復し始め、口内炎も良くなって笑顔が戻ってきました。

 話は変わります。以前、一緒に働いていた看護師長のFさん(50代・女性)のことです。

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