新型コロナウイルスへの「新たなる武器」が! 日本人医学者が英医学誌に発表
HO-1とはヘムを分解するヘムオキシゲナーゼのこと。細胞が活性酸素などにさらされて危機に陥ると、抗酸化活性ならびに細胞保護作用を発揮する。
具体的には、活性酸素のもとになる物質の生成を抑えたり、炎症性サイトカインを抑えたりする。実際、複数の研究で5-ALAとSFCの組み合わせによる抗炎症・抗酸化作用が報告されている。一方、新型コロナウイルス感染重症者においては血中HO-1が減少することが分かっている。HO-1産生を促すことで、サイトカインストームを抑制し、重症化を防ぐことが期待される。
「ソルボンヌ大学などの研究で、新型コロナと近縁とされるSARSウイルスへの効果も報告されています。グリーンモンキーの細胞を5-ALAとSFCで48時間前に処理すると感染が阻止され、ヒト結腸由来の細胞でも感染が強力に阻止されたとの研究もあります」
■国内外で治験も始まっている
5-ALAとSFCは日本と一部の中東諸国で栄養補助食品として承認されている。そこで、慢性閉塞性肺疾患の喫煙者を含む新型コロナ症状の患者6人に投与したところ、標準的な治療を受けた新型コロナ患者よりも回復時間が早かったとの報告もある。ここで、G4構造を制御することが新型コロナウイルスの増殖を抑える新たなメカニズムとしてのポイントになるという。