コロナ感染で精巣痛…精子にどんな影響を与えるのか?
全国で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。男性の感染者の中には精巣の痛みを訴えるケースもある。新型コロナウイルスと造精機能障害などについて東邦大学医学部泌尿器科学講座の小林秀行准教授に解説してもらった。
新型コロナウイルス感染症の原因となる新型コロナウイルスはウイルス表面の突起(Sタンパク)がヒトの細胞膜のACE2受容体に結合することで感染が開始する。さらにこの受容体の近くにあるTMPRSS2と呼ばれる酵素がSタンパクを切断することで感染が成立する。
つまり新型コロナウイルスは、ACE2受容体という足場とTMPRSS2というハサミがないとヒトの中には侵入できない。
「実は、ACE2受容体とTMPRSS2は精巣に多いことが研究で分かっています。このため新型コロナウイルスに感染した男性に、精巣上体炎や精巣炎に関連する精巣痛が見られるとの報告があります。その中には、風邪症状はなくて精巣の痛みだけで新型コロナウイルス感染症を疑わないケースもあります」
これまでの研究で、新型コロナウイルスの遺伝子とタンパク質が新型コロナウイルス感染症から回復した患者の精液から見つかっているという。