漢方や鍼灸は西洋医学に比べ保険適用が難しいのはなぜなのか
では、なぜ保険適用外になるのか? そもそも、現在日本では科学的根拠に基づく医療が基本となっており、保険適用となると、その有効性や安全性を裏付けないといけません。
東洋医学には長い歴史の中で使用してきた膨大な実績や経験がありますが、いざその有効性を現代医学の手段や手法で証明しようとした場合に、必ずしもよい結果になるとは限りません。それは、症状が同じでも、患者さんの体質、そのときの状態などによって、効く・効かないが異なるからです。
つまり、東洋医学は西洋医学に比べ有効性と安全性の裏付けを取るのが難しいのです。例えば、多くの人が風邪に効く実感を得ている漢方処方の葛根湯は、風邪の初期において症状の進行を抑える有効性では、総合感冒薬と比較して有意の差がないという意外なものとなっています。
現在、日本東洋医学会は漢方薬の有効性などに対する科学的根拠の解明を推進しており、多くの医療関係者が日々研さんされています。今後そんな東洋医学の特徴を踏まえた上に質の高い臨床試験がますます行われることを期待したいです。