屋外で緩和されたいまこそマスクの目的や素材の検証が必要
■政府の検証と発信が足りない
マスクといい、ワクチンといい新型コロナの件で頭をよぎるのは「かっけ論争」だ。かっけは江戸から昭和初期まで毎年多くの国民の命を奪った国民病だった。その原因はビタミン不足だったが、「栄養の欠陥によって起きる」という海軍軍医の主張は、「細菌による伝染病である」とする帝国大学医学部・陸軍グループにより40年間も否定・無視され続けた。
幸いマスクについては短期間で軌道修正された。しかし、その間マスクをしたまま運動させられ体調を崩したり、マスクなしで自転車通学して教師と言い争いとなり学校嫌いになったりした子供も多かったはずだ。マスクしたまま運動するのは苦しいからと運動をやめて持病を悪化させた大人もいただろう。
だからこそ、屋外での一律マスク着用の対応が変わったことに喜ぶ気持ちはわかるが、いまこそ注意しなければならない。
「一律着用がおかしいだけではなく、マスクの素材についての発信がありません。不織布マスクをつけていてもマスクと顔の隙間からエアロゾルは排出されているので例えば屋外でも空気の流れが良くない場所や風下に人がいる場合などはマスク以外の対策が必要だと考えます。政府や感染症の専門家はマスクを着用する目的とその目的を達成するためにどのような素材のマスクをどのような場面で着用するかを議論し検証し、その結果を国民に知らせるべきです」
それが潤沢な資金と人材を抱える政府が行う仕事ではないか。そうでなければまた気分でマスク着用が再び義務化されることになりかねない。