健康被害も多い「偽造医薬品」を見破る方法はあるのか?
日本ではあまり考えられないことですが、発展途上国では医薬品の10~30%が偽造であるといわれ、健康被害が報告されています。日本でも個人輸入などによる偽造医薬品が流入しているといわれており、そのリスクが高まっています。有名なのはED治療薬の偽造薬です。
海外から個人輸入されたものの中には有効成分がまったく入っていなかったり、少量しか入っていないものも報告されています。健康被害があっても下半身に関する薬なので恥ずかしいと思うのか、なかなか表面化しませんが、実際の被害件数は少なくないようです。
高額な偽造医薬品では平成29年1月に、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造医薬品が、卸売業者を通じて薬局で調剤され、患者に渡る事例が発生しました。ご記憶の方もおられるでしょう。
製薬会社では偽造医薬品の流通防止のために、薬の箱にシリアルナンバリングしたり、ホログラムシールや封緘シールを貼ったり、薬シートにUV発光インクで印刷したりとさまざまな工夫が行われています。そんな中、注目されているのが錠剤そのものを本物か否かを認識する技術です。
「ステルスナノビーコン」は錠剤などに印刷でき、特有のレーザーを0.2秒照射するだけで商品管理に必要な情報を得ることができる優れものです。こうした技術により、薬はより安全に使用できるようになりつつあります。
(弘邦医院・林雅之院長)