心臓手術を受ける患者に腎機能障害があるケースが増えている
CKDのステージが2か3で患者さんが外科に回ってきた場合、心臓の手術をしなければならない状態であれば、もちろん手術を行います。手術中に「CHDF」と呼ばれる特殊な透析装置を使った持続血液透析濾過を行って、腎臓にダメージを及ぼす物質を除去して保護しながら手術をソフトランディングさせるなど、さまざまな方法を組み合わせながら実施します。
冠動脈バイパス手術であれば、CKDのステージが2か3の患者さんは、人工心肺装置を使うと術後に人工透析に移行する可能性が高くなります。腎臓の血流低下を招いて負担がかかり、腎機能が悪化してしまうからです。そのため、ステージ2か3の患者さんの手術は、人工心肺装置を使わないオフポンプ手術を行います。心臓を動かしたまま手術を行えば、人工透析になる確率を低くすることができるのです。
CKDなどの腎機能障害がある患者さんの手術を行う際、かつては術前に腎臓の状態をできる限り良い状態に管理してから実施するケースもありました。腎機能が悪化して血液中の老廃物を濾過する働きが衰えていても、一時的な人工透析でカバーしたり、尿量がある程度出ている患者さんの場合は、術前に水分を付加したうえで利尿剤を投与することにより腎臓の中の水分を排除する機能を活発にし、体内の老廃物を減らしてから手術に臨む手段もあります。