心臓手術で使われる人工臓器はどれくらい耐久性があるのか
ただ、この生体弁も近年は耐久性が向上しています。かつては耐用年数は7~8年といわれていましたが、いまは平均で15年程度になりました。これも2倍以上延びています。
素材の加工法が進歩したこともありますが、造形技術が発達した点が大きいといえます。近年、さまざまな画像診断機器の進歩によって、心臓内でどのように血液が流れているのか、自然な血流がどのようなものなのかといったことが詳細にわかるようになりました。そうしたシミュレーションを繰り返しながら、生体弁の構造をより自然な血流に合わせたものにアップデートしたのです。
生体弁が本来の血流を妨げるような場合、生体弁のある一定の部分に負担がかかって、その分、耐久性が落ちてしまいます。いまの生体弁はそうした負担がなるべくかからないような構造でつくられているのです。今後、さらに進化して、耐久性がアップして、20年近くもつようになれば再手術が必要になる患者さんも減っていくでしょう。
ほかに「ペースメーカー」も寿命が延びています。脈が遅くなったときに作動して心筋に電気刺激を送り、心臓が正常に収縮するようにサポートする装置で、慢性的に脈が遅くなる徐脈の患者さんに対して埋め込み手術が行われます。