認知症の初期症状で「嗅覚障害」が起こるのはなぜか?

公開日: 更新日:

 認知症の早期発見の手がかりとなる症状のひとつに「嗅覚障害」があります。認知症の検査に嗅覚の異常を調べる項目はありませんから割合ははっきりしていませんが、発症の約10年前、いわゆる認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)の頃から、嗅覚は低下しているといわれています。

 たとえば鳥取大学医学部の浦上克哉教授のリポート「においと嗅覚の最新研究」では、「嗅覚機能検査キット(OSIT)を用いて嗅覚機能を調べたところ、アルツハイマー型認知症では正常な高齢者に比較して早期から嗅覚機能が低下していることを確認した」と書かれており、嗅覚障害と認知症の関係は複数の論文などで報告されています。

 理論的にも説明が可能です。われわれがにおいを感じるのは、空気中のにおいの分子が鼻粘膜に付着し、嗅細胞を通じて嗅神経を刺激、これが脳の前頭部にある嗅覚中枢「嗅覚野」に伝わります。この嗅覚野は、脳の記憶や学習能力をつかさどる「海馬」と隣接しています。そのため、主に海馬の障害が原因である認知症の初期症状である物忘れ兆候が出始めれば自然と「嗅覚野」にダメージを与えます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…