病気の治療に普段から使われている劇薬や毒薬はたくさんある
この条件以外にも、治療に用いられる量と中毒を起こす量が接近しているクスリ、治療に用いられる量であっても副作用が出る可能性が高いクスリ、副作用の程度が重篤なクスリなどが劇薬、毒薬に分類されるケースもあります。
冒頭で触れたように、こういった劇薬、毒薬は疾患の治療で実際に広く使われています。降圧薬で紹介したカルシウム拮抗薬と呼ばれるクスリの多くは劇薬に分類されますし、がんの治療に用いられる抗がん薬の多くは毒薬に分類されます。他にもたくさんのクスリが該当します。
だからといって、これらが危険かというと必ずしもそうではありません。LD50を絶対に超えないようにきちんと安全な投与量が決められていますし、劇薬や毒薬が用いられる場合には薬剤師はもちろんすべての医療従事者がそのリスクを十分に考えて副作用が出ていないかをモニタリングしています。
ちょっと変な言い方かもしれませんが、そうしたリスクがわかっているからこそ、より安全にクスリを使うことができるという面もあります。ですので、もしご自身の使っているクスリに劇薬や毒薬が含まれていたとしても、過剰に心配する必要はありません。