骨髄異形成症候群の男性「自分の最期は自分でわかっている。もう輸血はしません」
その方は、海の好きな70歳の男性。海辺の別荘で、奥さまと老後の時間をゆっくりと過ごすことが好きでした。
貧血症状を自覚し始めたのは、2020年夏ごろ。その年の11月に大学病院を受診したところ、造血幹細胞に異常が起き、正常な血液細胞が作られなくなる「骨髄異形成症候群」との診断。毎週1回通院し、輸血を受けることになりました。
当初は2単位(1袋)の輸血で安定していましたが、徐々に体が衰弱していき、通院が困難に。21年3月から、当院の訪問による在宅輸血に切り替わりました。22年8月には、貧血の進行で、輸血が毎週4単位(2袋)必要に。
骨髄異形成症候群はいろいろな病型がありますが、この方の場合、白血病へ徐々に移行していきました。倦怠感、味覚障害、乾性咳嗽も出現。白血病化の進行に伴い、発熱も繰り返すようになりました。
22年11月10日には、38.5度の発熱。抗生剤を投与し、解熱。同月17日、血液検査でさらに白血病化進行を確認。
12月、小康状態。抗がん剤治療の説明をしたが、ご希望なし。年明け、いったん白血病化の進行が落ち着いたものの、23年6月からADL(日常生活動作)が低下。傾眠傾向(軽度の意識障害)やせん妄が出現し始めました。