暑い夏になると高校時代の熱血先生を思い出す やかんを手に巡回
松木先生は、怖い顔で「この本を読んでくるように。入学式の翌週にこの中から試験を行います」と告げました。入学式までの日々がもったいないと言われるのです。受験から解放され、遊びたかった私は愕然として帰宅しました。
入学式が終わって、松木先生の英語の授業が始まりました。
「口が回らないではないか!」
「大切な文は書き残すから、黒板に書いたものをノートに書き写すのは休み時間にしろ」
今であれば、生徒から訴えられかねないような怒声が隣の教室まで響きます。怖くて、数日、学校を休んだ生徒もいたようでした。松木先生の授業で、その直前の休み時間から緊張したのは、私だけではなかったはずです。
松木先生は授業中にだんだん感極まってくると、歌い出します。
「時計の針の絶え間なく、めぐるがごとく励みなば、……いかなるわざがならざらん……」
そしてよく話す、口癖のような言葉があります。