著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

妊婦には使えなかった降圧剤が最近になってOKになった理由

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「妊娠しているのですが、この薬は飲んでも大丈夫ですか?」

 薬剤師として病院に勤務していると、医師や患者さんからとてもよく聞かれる質問です。一番心配なのは、医薬品による催奇形性や先天異常など胎児への影響についてでしょう。

 医薬品による胎児への影響として、サリドマイドが非常に有名です。サリドマイドは1950年代末から60年代初めに、世界の十数カ国で鎮静・催眠薬として販売されました。この薬を妊娠初期に服用すると、胎児に奇形を起こすことが後に判明します。サリドマイドの催奇形性により、世界で数千~1万人、日本においても約1000人の胎児が被害にあったと推定されています。

 現在は、新たに医薬品を販売するまでに厳しい試験が行われます。動物における胎仔毒性などが十分に調査されたうえで、発売となるのです。ただ、古い時代に実施された試験の中には、おかしなものを見かけることもあります。

 たとえば、高血圧治療でよく用いられているCa拮抗薬の「ニフェジピン」という薬がそれにあたります。ラット及びマウスの器官形成期における実験で、「ラットでは1日25㎎/㎏以上、マウスでは50㎎/㎏以上の経口投与により胎仔の奇形・死亡及び発育遅延などの変化が認められている」と掲載されているのです。

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