著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

水を飲むことはホントに健康にいいの? 18件の研究論文を分析

公開日: 更新日:

 人の体は、体重の約60%が水分で構成されています。体重が70キロの成人であれば、体内の水分量は42リットルです。体の水分は、血液や細胞構造の維持だけでなく、栄養素や老廃物の運搬、体温調節、関節の動きを滑らかにする潤滑作用など、さまざまな役割を担っています。そのため、こまめな水分補給は、体の機能を正常に保つうえで重要です。しかし、水分の積極的な摂取が健康状態にどのような影響をもたらすのかについて、質の高い研究データは限られていました。そのような中、水分の摂取と健康状態の関連性を検討した研究論文が、米国医師会のオープンアクセス誌に2024年11月4日付で掲載されました。

 この研究では、23年4月6日までに報告された水分摂取に関する医学論文を網羅的に収集し、個々の論文で報告されている研究データを体系的に分析しています。最終的に18件の研究データが分析対象となりました。このうち、肥満者を対象に体重変化を調査した研究データによれば、食前に500ミリリットルの水を摂取することで、統計学的にも有意な体重減少を認めました。

 また、1日に1.5リットルの水分を摂取することで、片頭痛による生活の質の悪化を抑える可能性を報告した研究データもありました。さらに、水分の摂取は女性における膀胱炎の再発リスクを低下させたり、腎結石(腎臓にカルシウムの結晶ができてしまう病気)の発症リスクを低下させたりする可能性も報告されていました。

 論文著者らは、最適な水分摂取量に関する知見は確立されていないとしつつも、「いくつかの研究データは、水分摂取が体重減少や腎結石の予防に効果的である可能性を報告している」と結論しています。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか