(1)骨折で入院…1カ月後に壊死で死亡の不可解
医療の知識が足りないと、適切な治療を受けられず、最悪、死につながることも取材を通じて聞くことがある。4回シリーズで不適切な治療で翻弄されたケースを紹介する。
70代の三浦千代子さん(仮名)は2024年秋、都内の自宅玄関で転倒して右上腕を骨折し、都内の総合病院に入院。その1カ月後に死亡した。その死因は意外なものだった。
三浦さんの夫は他界。入院時は唯一の肉親である一人娘の圭子さん(仮名)が付き添った。ただ、圭子さんは昼間はフルタイムで働いており、自分の家庭もあるため、見舞いは週1、2回程度で精いっぱいだった。
見舞いのたびに、看護師から容体を聞くようにし、特に大きな変わりのないことを確認していた。ところが、入院から2週間後に、自宅に病院から電話が入り、「上腕が壊死し始めたから、医師から説明を受けてほしい」と言われた。
翌日、病院に行くと、主治医からは「骨折した上腕付近で血球が減少して壊死が始まっています」などと説明されたが、壊死が始まった理由については十分に説明されなかった。