「転んだ程度で骨折」寝たきりや死亡リスクのアップを招く
外出機会が少なくなると、50代以上において心配なのが「骨粗しょう症」だ。ウオーキングなど体を動かすことは、骨を強くすることに加え、筋肉量をアップし、転倒しづらくする。それはつまり骨折を防ぎ、寝たきり予防につながる。
「骨折の92%は転倒が原因です。運動は骨を強くする効果もありますが、あまり大きな効果ではありません。それよりも筋肉量を維持・増量させ、転びにくくなることが大きいのです」
こう言うのは、鳥取大学医学部保健学科教授の萩野浩医師。高齢者が転んで骨折した場合、「骨折程度で済んでよかった」と言われることがある。しかし萩野医師は、それはとんでもない勘違いだと指摘する。
「寝たきりリスクを上げ、生命予後を下げる要因になることは明らかになっています。骨折した場合は骨粗しょう症が進んでいる可能性があります。その前の段階から、対策を講じるべきです」(萩野医師=以下同)
■骨のもろさに気づいていない人が多い
骨粗しょう症は、骨密度と骨の質が低下し、骨がもろくなった状態。骨粗しょう症の骨折は最初は手首で起こりやすく、椎体、腕、大腿骨近位部(脚の付け根)と続く。研究では、一度骨折を起こすと1年以内に2次骨折を起こすケースが多く、大腿骨近位部の骨折を起こした場合、ほかの骨折と比べて死亡率が6~7倍高いとの結果も出ている。