重度の眼瞼下垂には健康保険適用の「前頭筋吊り上げ術」
後天性の眼瞼下垂で、保険適用で受けられる最もポピュラーな手術は「挙筋腱膜前転法」(前回紹介)です。これは中等度の眼瞼下垂が対象となります。
一方、まぶたを上げる筋肉がほとんど機能していない重度の眼瞼下垂の患者さんの場合は、「前頭筋吊り上げ術」という方法で治療することが多いです。
額の筋肉(前頭筋)で上まぶたを持ち上げられるようにする術式で、生まれつきの眼瞼下垂にも用いられます。眼科で重度眼瞼下垂と診断された場合、保険適用となります。ここでいう「重度」とは、上のまぶたの縁が瞳孔中心線より下になっていることを指します。
前頭筋吊り上げ術では、患者さんの前腕の腱もしくは太ももの筋膜を、前頭筋と上まぶたの間に移植します。前腕の腱や太ももの筋膜を移植する以外に、GORE-TEXという人工素材を腱の代わりとして用いる病院もあります。
太ももの筋膜を移植して手術を行う場合には、太ももの外側を切開する必要があります。そのため、術後1カ月程度は採取した部分をサポーターなどで保護しなければなりません。