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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

開成の国公立医学部合格者が大幅減少した納得の理由…今年は東大理Ⅲにわずか「3人」

公開日: 更新日:

 一方、開成は「なんとしても医者を目指す生徒は以前より減っている」(同校関係者)という。今年の東大合格者148人のうち、理Ⅰ(83人)と理Ⅱ(20人)の2つで約70%を占める。

「官僚も多く輩出してきた開成ですが、元々は理系が強い学校。その選択肢のひとつとして医学部があった。でも最近はさらなる可能性を求め、医学部以外の理系を受験する生徒が増えている」(同)

■OBが誇るのは進学実績より結束力

 受験の段階で医師という固定した進路に縛られたくない生徒が増えてるのだ。「昔も理系で最も優秀なのは理Ⅰに進んだ」と振り返るのは77年卒業のOB。岸田文雄首相の1年後輩だ。自身は地方の国立大医学部に入り医師の道に進んだ。

「僕はテレビドラマのベン・ケーシーに憧れて脳外科医になった。単なるミーハーなんです。勉強が好きでたまらない連中は医学部より理学部で研究をしたいという気持ちが強かった」

 このOBは開成で一番誇れるのは進学実績より結束力だと強調する。運動会で高2と高3が参加する棒倒しは同校最大のイベント。8チームに分かれ、熱戦を繰り広げる。その激しさは「ニューヨーク・タイムズ」に取り上げられたほどだ。

「何年たってもこの時のことが話題になる。僕はいまだに『白組の○○』と呼ばれ、卒業生同士の絆を再確認するんです」

 42年連続で東大合格者数トップの座を死守する開成。OBたちはそのことを世間が思っているほど、気にしていないのかもしれない。

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