就寝中に大地震…防災プロが枕元に用意「ラジオ、スマホ、懐中電灯」…もうひとつは?

公開日: 更新日:

情報収集はラジオでスマホは温存する

 そんな寝室対策で地震発生直後の“致命的な一撃”を免れたら、自宅にとどまるか、避難するべきか。眠気が残る頭で状況判断が迫られる。

「枕元には、ラジオと懐中電灯、スマホ、そしてスマホの予備バッテリーを用意しておくこと。ラジオと懐中電灯は、手巻きで充電できるタイプが無難です。避難するかどうかの情報収集は、ラジオをおすすめします。万が一、被災が大規模だと、避難は長期戦になり、スマホは連絡や情報収集に欠かせません。避難情報を集めるのにラジオを使うのは、スマホの電池の消耗を防ぐためです」

 ラジオで情報収集したら、避難するか自宅にとどまるかの判断が必要になる。防災のプロの森氏は、この4つに加えてもうひとつ、枕元に用意しているという。

「スリッパです。スリッパといっても、ビジネスホテルにあるようなペラペラの館内履きではありません。スリップオンのようなかかとまであるタイプです」

 大地震に襲われても大丈夫なように寝室の安全性は確保してある。しかし、寝室以外の部屋にはガラスが飛び散っていたりする。

 ある程度、丈夫なスリッパを用意するのは、ガラスの破片などから足を守って移動するためだという。

「日本は、米国のように土足OKの文化ではありませんから、防災対策とはいっても靴をベッドサイドに置くのは心情的に難しい。そこで、スリッパなのです」

■津波に備えて普段着に近い衣類で寝る人も

 スリッパがあれば、食器などが割れた自宅を移動するにも安全だろう。多少の家具の転倒や食器などの落下があっても、ラジオなどの情報で津波の心配がなければ、自宅にとどまって、明るくなってから避難所に移動する手もあるが、津波警報が出されたら、避難は一刻を争う。

「丈夫なかかとがあるスリッパを用意しておくのは、玄関にある靴箱などが転倒するなどして靴を取り出せず、最悪の場合、スリッパのまま避難することを想定しているのです」

 東日本大震災では、車の避難が相次いで渋滞が発生。それが被害を拡大させたという指摘もあるが、若い人はともかく、高齢者の避難にはやっぱり車が欠かせない。

「人口が少なく、渋滞はまず起こらないと予測されているエリアでは、すぐに逃げられるように普段着に近い衣類で就寝して、車のカギを玄関に置いている高齢者もいます。ここまでやるかどうかは、ハザードマップから想定される津波や浸水のリスク、住人の身体的な状況によりますが、夜間であってもすぐに逃げられる準備はしておいて損はありません。それが3.11の教訓ですから、緊急地震速報の通知はオンにしておくべきです」

 自宅から避難所までの経路は、地図で場所を把握するだけでなく、実際に歩いて確認すること。重要なのは、窓や看板、オブジェなど地震時に落ちてきそうなものがないかの確認だ。

 震度6以上だと、緊急車両の通行確保で災害対策基本法などに基づき交通規制が実施される。規制を想定した避難ルートを考えておくことも重要だ。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    “かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に

  4. 4

    「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

  5. 5

    論争になった“おじさんパーカ”より「生理的に無理」の声が出たビジネスシーンでのNGアイテムは?

  1. 6

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  2. 7

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  3. 8

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  4. 9

    日本で犬肉食の実態は本当にあるのか調査 デヴィ夫人新党が「犬猫食禁止法」成立を看板政策にブチ上げ物議

  5. 10

    鬼怒川温泉の渓谷に張り付く巨大廃墟群を探る…残された「バブル遺構」が物語るかつての栄華

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり