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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

麻生太郎元首相は学習院初等科編入で“箔づけ”に成功 閨閥づくりの犠牲になった親族も

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「かつて初等科は人脈づくりの場として利用されてきた。秋篠宮家の学習院離れによって、そうした要素はかなり消えてしまいましたが」と話すのは学習院同窓会「桜友会」の社員(役員)。初等科から大学まで16年間、学習院に在学したOBだ。閨閥(一族)の格が皇室との距離によって測られる時代が長く続き、学習院初等科はそれを縮める格好の舞台になってきた。

 たとえば、「麻生家」もそのひとつ。炭鉱経営を足がかりに九州随一の財閥に上りつめた。御曹司の元首相・麻生太郎氏は小学校2年まで、父が炭鉱作業員の子弟のためにつくった筑豊の麻生塾に通っていた。3年に上がる時、上京し、学習院初等科に編入した。母・和子氏の意向が強く働いたという。戦後復興の立役者・吉田茂元首相の娘だ。麻生氏を「学習院をおとしめた一人」と評するのは初等科時代の同級生。首相時代、国会答弁でそれほど難しくない漢字の読み方をたびたび間違えた。「初等科でも成績はビリに近かった。特に国語と算数がひどかった」と振り返る。

「麻生さん自身が皇室とのパイプを築いたわけではないが、学習院に入ったことで箔がついたのは確か。編入とはいえ、初等科からというのが意味が大きい」と話すのは前出OB。上部校に行くにしたがい人数が増えていき、その価値が薄まってくるのだという。初等科は麻生氏、近衛文麿、東条英機(1年少し在学し転校)、鳩山由紀夫ら5人の首相を輩出している。

■麻生家と皇室を結びつけた信子さま

 麻生家と皇室を結びつけたのは「ヒゲの殿下」の愛称で親しまれた寛仁親王に嫁いだ麻生氏の末妹・信子さまである。寛仁さまは26歳の時、10歳下の高校1年の信子さまを見初め求婚。まだ早すぎるとの声が強く、成婚に至ったのは8年半後だった。

「信子さま自身は乗り気ではなかったが、母・和子さんが強く後押し。母の思い通り、麻生家の系図に皇族の名が刻まれることになった」(元宮内庁担当記者)

 ただ、この結婚は必ずしも幸福だったとはいえなかったようだ。

「殿下と義母和子さんは一緒にがん会を主宰するなど、関係は良好だったのですが、夫婦仲はよくなかった。信子さまは殿下のアルコール依存症に悩まされ続けた」(同)

 結局、寛仁さまの本葬で喪主を務めたのは長女の彬子さまだった。父の側についた娘たちと今も断絶したままの信子さまは宮内庁分庁舎で1人暮らしを続け、「麻生家の閨閥づくりの犠牲になった」(同)との声も聞かれる。

 愛子さまは来春、学習院大学を卒業。現在、筑波大学付属高校2年の悠仁さまが今後、学習院に入学する道は限りなくゼロに近い。「皇室との縁が切れるのは寂しいが、周囲のさまざまな思惑を断ち切る意味では良かったのかも」と学習院大文系教授。“新生”学習院に期待したい。



◆田中幾太郎の著書「名門校の真実」」(1540円)日刊現代から好評発売中!

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