米軍特殊部隊で伝説を作った男が「誰でも自分の限界を押し広げられる」と説く理由
■自分を追い込むのが大切な理由
君はいくつもの逆境をくぐり抜け、戦い続けてきた。それを思い出せば、頭の中のひとり言をポジティブに変えられる。自己不信を乗り越えて、一歩一歩を積み重ねることだけに集中して、目の前のタスクをやり遂げられるんだ。
簡単そうに聞こえるかい? でも簡単じゃないよ。ほとんどの人は、自分を疑う気持ちを頭に浮かべたまま、ほったらかしにする。自分の心にいいように操られて、思考のプロセスをコントロールしようなんて考えもしない。それは際限のない作業だし、いつも思うようにコントロールできるとは限らないからね。
平均的な人は1時間に2000個から3000個もの考えごとをするらしい。1分に直すと30個から50個だ! とても全部はコントロールできない。それは仕方ない。でも惰性でダラダラ生きていると、自分の心に操られやすくなってしまう。
思考プロセスをコントロールする方法を学ぶには、身体トレーニングが一番なんだ。ワークアウトしている時は集中しているし、ストレスと苦痛に対する体の反応が瞬時に出て、計測できるしね。
たとえば君がマラソンを走る時、頑張って自己ベストを更新するのか、それとも崩れてしまうのか? それを決めるのは身体能力じゃない。君が心をどれだけ「コントロール」できているかなんだ。各区間で自分を厳しく追い込み、その勢いを利用して速いペースを維持できれば、記録を更新できる可能性が高まるだろう?
もちろん、調子のいい日もあれば悪い日もあるし、タイムやスコアがすべてじゃない。でも、やめたくなった時に自分を追い込むことが大切なのは、心が鍛えられるからだ。一番やる気がない時に全力を尽くすことが大切なのも、心が鍛えられるからだ。
▽デイビッド・ゴギンズ 退役海軍特殊部隊員(ネイビーシール)。米軍でシール訓練、陸軍レンジャースクール、空軍戦術航空管制官訓練を完了した、たった一人の人物である。これまでに60以上のウルトラマラソン、トライアスロン、ウルトラトライアスロンを完走し、何度もコース記録を塗り替え、トップ5の常連となっている。17時間で4,030回の懸垂を行い、ギネス世界記録を更新した。講演者としても引っ張りだこであり、全米の大企業の社員やプロスポーツチームのメンバー、数十万人の学生に、自らの人生の物語を語っている。