「俺、現妻を選ばないほうが幸せだった?」認知していない息子への思いが募る50男【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
50歳、ただいま家族と別居中
「冷酷と激情のあいだvol.223〜女性編〜」では、息子の父親である元恋人のダイスケさん(50歳・仮名)から、10年も経ってから「息子に会いたい」と連絡がきたことに戸惑う由香子さん(45歳・仮名)の心情をお届けしました。
ダイスケさんは、由香子さんの出産後わずか半年で別の女性と結婚。なぜ今になって急に息子に会いたいと言い出したのでしょうか。実はダイスケさんは親しい仲間たちに、お酒の席で切実な思いを吐露していました。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「今、家族と別居して1年くらい経つかなぁ。だんだん寂しくなってきたよね。
最初は自由な時間が増えてラッキーって感じだったけど、最近はひとりでの生活が身にしみるっていうかさ。なんだか孤独を感じちゃうね。
それでこの前、元カノの由香子に連絡をしてみたわけ。由香子は俺の子どもを産んで育ててくれているから、まぁ半分くらい家族みたいなもんじゃん?
それなのにさぁ、あんまり喜んでくれなくてさぁ。むしろ迷惑そうな口調だったから、ちょっと傷ついたよね」
由香子さんの息子を認知もしていなければ、養育費も払っていないダイスケさん。そこには彼なりの事情があったと話します。
思いやる余裕がなかった10年前
「俺、あのときは今の妻と結婚をするのに必死で、由香子たちのことまで考えてあげられなかったんだよなぁ。
余裕がないっていうの? お金もそうだし時間的にも気持ち的にも、由香子たちを思いやる余裕はまったくなかった。
でも俺もトシをとってきて、このままじゃいかんよなぁって思うわけよ。それに、今や妻や娘たちとも疎遠で、いつ離婚をしてもおかしくない状況だもんな。
これまで由香子たちを放置しちゃっていたバチが当たったのかもしれないね」
ダイスケさんが息子に会ってみたい気持ちは日増しに強くなり、なんとかして近況を知りたいと思いは募るばかり。
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父親なのは間違いない
しかし由香子さんたちの住居を知らないため、許可がなければ息子に会えないとのこと。
「由香子はしっかり者だからね、俺が認知もしていないし養育費も払っていないから父親として名乗るのはおかしいって言い出しそう。
まぁそれっぽいことはすでにこの前の電話でも話してたけどね。
だけどさぁ、それも一理あるけれど、俺が父親なのは間違いないじゃん?
もしもさぁ、今の妻と離婚になったら、由香子と結婚してもいいかもなって思っているんだけど、どうだろうね?
ちゃんとした家庭に憧れる
まぁ…今の妻と離婚しても娘がふたりいるからね。
その養育費とかって話になって、お金はキツくなるかもしれないけどさぁ。でも家族仲良く暮らせたら、お金が多少キツくてもそれはそれで幸せじゃん?
なんかこう、ちゃんとした家庭っていうの? 俺もそろそろ、そういうのに憧れるんだよね。
あのとき、今の妻じゃなくて由香子を選んでいたら別の人生があったって思うと複雑な気持ちしかないね。
妻を選ばずに、由香子と息子と暮らしていたほうがひょっとしたら俺は幸せになれたのかもしれないよね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)