埼玉県深谷市・長瀞町で新紙幣の肖像「渋沢栄一」の思想をめぐる
レンガのまちのシンボル
「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一は生涯に500もの会社の設立・運営に関わったという。ただ、NHK大河ドラマ「青天を衝け」でも見ていなければ、その思想や功績に触れる機会は少ないのではないか。「教科書に載っていた新1万円札の人」を知るために、埼玉県の深谷市と長瀞町を訪ねた。
◇ ◇ ◇
まずはJR高崎線の列車に乗り、栄一が23歳までを過ごした深谷市に向かう。玄関口の深谷駅は東京駅を模したデザインで知られ、「関東の駅百選」にも選ばれている。同市にはかつて、栄一が設立に関与した「日本煉瓦製造」(2006年に自主廃業)があった。東京駅の駅舎にも同社のレンガが大量に使われていたため、深谷駅が1996年に改築される際は外壁にレンガのタイル貼りを採用。文明開化を支えたまちのシンボルとして、往時の雰囲気を今に伝えている。