福島県双葉町の「光と影」(下)東日本大震災から14年…病院も学校も介護施設もない
人が集まるのはありがたいけれど
隣接する区画にはビジネスホテルとサウナ付きの温浴施設もある。サウナー歴10年弱の記者はサ室→水風呂を2セット。着替えを済ませ、外へ出てぬるい風に身をゆだねると、深い「ととのい」が訪れた。放射線量を測定するモニタリングポストの数値は極めて低く、コンビニで買った缶ビールが極上にうまい。
前出の50代男性は「確かにいいサウナだよね」と言い、こう続けた。
「交流センターやサウナに人が集まるのはありがたい。でも、大半は原発の復旧作業員で、県外から来ている人が多い。彼らは本当に仕事が早く、サッサと作業を終えてパーッと別の自治体に行ってしまう。町に定着することはないでしょう。そりゃそうです。町には大病院や介護施設どころか、学校もないんですから」
4月には町内に大規模スーパーができるというが、社会インフラはまだまだ不十分。目抜き通りの国道6号付近の「双葉厚生病院」や隣接する福祉施設「ヘルスケアーふたば」の敷地には雑草が茂っており、そこかしこに「帰宅困難区域につき通行止め」と記された看板が設置されている。