ドムドムフードサービス 藤崎忍社長<3>109を辞めた6日後には居酒屋で働き始める
藤崎忍(55)はSHIBUYA109の店長を辞めざるを得なくなったとき、今度は起業をして、109に自分の店を持ちたいと思っていた。
起業にこだわったのは、やはり経済的な理由からだった。
「ほとんど就職経験のない44歳の私がどこかに勤めて、私立に通う息子と介護が必要な夫がいる生活を守るほどの給料をもらえるとは思えませんでしたから」
しかし、109は人気が高く、なかなか出店待ちの順番が回ってこない状況にあった。
藤崎は、差し当たっての生活費を稼ぐ必要に迫られていた。初めて就職情報誌を買い、仕事を探した。
しかし、自分にできることといえば、料理ぐらいしかない。そこで、新橋駅前にあるニュー新橋ビルの居酒屋でアルバイト店員として働くことにした。
当初、居酒屋で働くことには抵抗があった。藤崎は区議の娘として育ち、青学初等部から短大までずっと私学という比較的恵まれた境遇に身を置いてきた。