シニアジョブ 中島康恵社長(1)働く場がないシニアをひとりでも減らすために
シニアの転職支援を始めて、5カ月経った頃のことだった。
土木の現場監督を務めていた67歳の男性が再就職を希望してきた。聞けば、まる2年、仕事を見つけることができないでいるという。
中島は建設会社を紹介して、彼の面接試験にも同行した。
面接は順調に進み、入社の話にまで及んだ。
その帰り、中島は男性に最寄りの駅まで車で送ってもらう。駅に到着すると、男性が感謝の思いを語り始めた。
「探してくれて、ありがとう。本当にうれしいよ」
そう言って、筋肉隆々、こわもての現場監督が泣き出した。
「いま、通ってきた橋があっただろう。あそこもオレが造ったんだよ。40年間、土木の仕事を頑張ってきて、オレ自身はまだやれると思っている。だけど、60歳を過ぎているという理由で仕事ができないのは悲しかった。家のローンもまだ残っているし、孫にお年玉もあげたいしね」
男性の切ない心情に触れ、中島も感極まって号泣した。