時代屋 藤原英則社長(1)浅草を盛り上げる「観光人力車」のパイオニアは副業の達人
いまや、浅草観光のアトラクション的存在になっている人力車。時代屋は、浅草で観光人力車を初めて走らせたパイオニアである。
昭和初期までは日本一の盛り場だった浅草も、藤原が事業を開始した1990年代当時は下町文化が息づいていたものの、観光地としてはすっかりさびれていた。街中を歩いていたのは、高齢者や作業員風の人たちばかりだったという。
「観音裏には花柳界があって、芸者さん相手の人力車業者が1軒残っていました。それも、私が浅草に来て5年後くらいには廃業してしまいました」
現在の浅草はインバウンド観光の人気スポットとなったばかりか、若者たちで賑わう街へと変貌を遂げている。浅草の観光人力車はおよそ20業者までに増えて、しのぎを削っている状態だ。
「こんなふうになるなんて、思いもしなかった。隔世の感があります」と、藤原は感慨深げに語る。
時代屋が他業者と一線を画すのは、人力車だけにとどまらない総合レトロエンターテインメント企業だということだ。人力車に始まり、着物レンタル、日本の文化体験など幅広い事業を展開するようになった。