大正製薬がMBOで非上場化へ…舞台裏では取引金融機関の激しい“つばぜり合い”が
大正製薬のメインバンクは三菱UFJ銀行。だが、同行が融資することにはならなかった。決め手となったのは大正製薬のオーナーである上原家と三井住友銀行の「法皇」と呼ばれ、戦後19年間にわたり住友銀行頭取、会長を務めた堀田庄三氏との血脈だった。
大正製薬HDの筆頭株主は2割近くを持つ上原記念生命科学財団、2位は上原明社長の父親の昭二名誉会長で、上原家で約4割の株式を保有している。この上原家保有分を含めMBOで株式を買い上げるのに、融資を依頼したのが三井住友銀行だった。
「実は明社長の実父は堀田庄三氏だ。堀田氏の次男であった明氏は、大正製薬の昭二氏の養子に入った経緯がある」(メガバンク幹部)とされる。さらに、昭二名誉会長の次女と結婚し、大正製薬の取締役を務めた大平明相談役は、大平正芳元首相の息子。まさに“華麗なる一族”の血脈で結ばれている。
「今回のMBO・非上場化の背景には、上原家の相続問題も影を落としている」(大手証券幹部)との指摘もある。まさに「血は水よりも濃し」ということか。