6月の株主総会集中日に向け「モノ言う株主」活発化…“アクティビスト銘柄”は買いなのか?
中計でROICやDOEを開示する傾向
東証は昨年3月末に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表。それを受けて今年1月からは、対応した上場企業の一覧を開示。時価総額が上がらないPBR1倍割れ企業、資本を上手に活用していない低ROE企業などに経営改善を促す目的だ。こうした東証の動きが、アクティビストの活動を後押しする材料になっている。
「今年の傾向として、企業の稼ぐ力を示すROIC(投下資本利益率)、企業が株主資本に対してどの程度配当を行っているかを示すDOE(株主資本配当率)などの指標を中期経営計画で開示する企業も増えています」
■日本の運用会社と強調したい、良くしたい
東証による“催促”があっても、必ずしも企業が敏感に反応するわけではない。
アクティビストの評判も相変わらずよくはないという。
「アクティビストの資金集めは主に海外で、運用資金の半分以上は海外の大学基金や年金などです。日本の年金基金や生損保がアクティビストに出資しない流れは相変わらずで、アクティビストはあまり歓迎されていません」
前述したSCの運用資金は約600億円で、エリオットは10兆円の運用資金で大型株をターゲットにする。いずれにしてもアクティビストが日本で成果を上げるには日本流に合わせるしかないという。
「株主提案を通すには、日銀が買い入れているETF(上場投資信託)を運用する大手運用会社の賛同を得る必要があります。議決権を多く持つからです。そのためアクティビストは、これらの運用会社を回って、地道に根回ししています。欧米風に傲慢にやれば、つまはじきですから。今のエリオットの担当者は、『日本の運用会社と協調したい』『日本を良くしたい』という柔らかい態度なので非常に評判がいいですね」
個人投資家は、アクティビストの動きをどうチェックして、参考にすればよいのか。
「大手アクティビストでも株主提案が実現することもあれば、失敗することもありますが、その内容が正論なら最終的に企業側が折れる確率は高いと言えます。個別銘柄が上がるか、上がらないかという予想はわれわれプロでも難しいので、分散投資をお勧めします」
前述した通りエリオットが狙ったとされる3社は、株価が急騰。個人投資家も、アクティビストの保有銘柄を吟味した方がよさそうだ。