著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

WECARS(上)主役は企業再生ファンド 再建した暁に伊藤忠に引き渡す

公開日: 更新日:

 議決権ベースの株式保有比率はJWPが95%。伊藤忠側は5%。新会社のオーナーは伊藤忠ではない。主役はJWPだ。

 新会社の社長には英タイヤ小売り最大手を立て直した経験などを持つ伊藤忠商事元執行役員の田中慎二郎氏が就任。取締役7人のうち4人がJWPから出た。出資額と取締役はJWPが過半数を占める。新会社はJWPの会社なのだ。

 どうして、こんなややこしい仕組みにしたのか。新会社は伊藤忠の住生活カンパニーの持ち分法適用会社となり、伊藤忠は議決権比率に応じた損失を担うことになる。つまり、何が起ころうと伊藤忠の決算への影響は限定的なのだ。

 BMは不正発覚後、毎月赤字で資金の流出が続いている。止血したうえで黒字転換させ、金融機関から融資を受けられる環境を整えるのがJWPの役割。伊藤忠は2~3年後をめどに、JWPから新会社の全株式を取得し、完全子会社にする方針だ。

 新会社の設立に伴い、BMの社名はBALM(バーム)に変更され、債務処理や損害賠償などの対応に当たる。BMの全株式を持っていた創業家の資産管理会社ビッグアセットはSPCに全株式を譲渡した。譲渡額は実質、無償に近かったと伝えられている。JWPがSPCを買収し、BMの存続会社バームの100%株主となった。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  2. 2

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ

  3. 3

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  1. 6

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  2. 7

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  3. 8

    堂本剛、松本潤、中山優馬…そして「HiHi Jets」髙橋優斗の退所でファンが迎えるジャニーズの終焉

  4. 9

    「光る君へ」一条天皇→「無能の鷹」ひ弱見え男子…塩野瑛久は柄本佑を超える“色っぽい男”になれる逸材

  5. 10

    虎の主砲・大山を巡り巨人阪神“場外乱闘”に突入か…メジャー挑戦濃厚な岡本の去就がカギを握る