11年ぶり年間1万件超えも? ヒタヒタ迫る倒産激増の足音…市場が囁く「危ない会社」リスト【表あり】
「GC注記」「重要事象」は75社
市場関係者は上場企業の決算書に記載される「GC注記(ゴーイングコンサーン注記=継続企業の前提に関する注記)」「継続企業に関する重要事象」に注目する。この記載を“危ない会社”の目安にするという関係者は少なくない。
「24年3月期にGC注記があったのは23社。重要事象は52社でした。どちらも前年より減少しています」(増田和史氏)
合計すると75社。コロナ禍の22年3月期に比べると2割ほど減少した。
「業績を回復させる企業が増えているのに、業績低迷から抜け出せない会社がある。それが“危ない会社”として残ってしまっているともいえます」(市場関係者)
GC注記(表1)は、情報・通信のジーネクスト(東証グロース)、亜鉛・鉛製錬大手の東邦亜鉛(東証プライム)、食料品の石垣食品(東証スタンダード)など。独立系ブレーキメーカーの曙ブレーキ工業(東証プライム)は24年3月期の決算短信に記載があったが、疑義を生じるような事象が解消したとして、6月半ばに「記載解消」を発表した。
GC注記には至らないまでも、事業継続に疑義を生じさせる事業がある場合は「重要事象」(表2)。“危ない会社予備軍”といったところだ。広島を地盤にする中堅ハム・ソーセージメーカーの福留ハム(東証スタンダード)、医薬品の住友ファーマ(東証プライム)、電子・通信用機器の多摩川ホールディングス(東証スタンダード)など17社が新たに加わった(23年9月中間期には記載なし)。
上場企業の倒産はこの数年、めっきり減った。リーマン・ショックのあった08年は33件に及んだが、21年はゼロ、22年と23年はそれぞれ1件のみ。
■24年1~6月は5200件超か
「上場企業の倒産が珍しくなった分、倒産そのもののインパクトは大きくなっています。株式市場に与えるマイナスも想像以上でしょう。海外投資家が日本市場から逃げ出す理由になりかねません。そうなったら負のスパイラルです」(前出の市場関係者)
大手証券が予想する年末の日経平均4万~4万2000円は遠のくだろう。新NISAに群がる「新しい投資家」たちも、投資に二の足を踏みかねない。
この先、中小・零細を含め倒産は増え続けるのか。東京商工リサーチは5月度の倒産月報で、24年は「11年ぶりに年間1万件を超える状況」と分析した。1~5月は4111件。「6月も5月並みのペースで推移している」(増田和史氏)という。
5月は前年同月比で42.9%増だった。同様な増え方をすると、6月の倒産件数は約1100件。24年1~6月の半年間では5200件を超えてくる。年間で軽く1万件を突破する勢いだ。
物価高、円安、実質賃金マイナス……。そこに株安、倒産激増が上乗せされれば日本経済に暗いムードが漂う。昨年の猛暑では家計支出(東京)が1カ月に約3700円増加したとの統計(帝国データバンク調べ)があった。
今年も間違いなく猛暑。生活防衛を徹底させるしかない。