著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

アリナミン製薬(上)武田薬品から離れ生々流転…ファンド間で転売される

公開日: 更新日:

 武田コンシューマーは16年4月、武田薬品の大衆薬部門を分社化して設立され、翌年の17年4月に事業を始めた。

 アリナミンシリーズは武田薬品の名前を世間に知らしめることになる看板商品だ。多くの日本人にとって、アリナミンは武田薬品の顔だった。

 戦時中から38年にわたって社長・会長を務めた6代目武田長兵衛は、1954年に日本初のビタミンB1製剤、アリナミンでタケダの社名を全国区にした。60年代には全利益の半分をアリナミンが稼ぎ出し“アリナミン王国”を築いた。87年、ドリンク剤・アリナミンVを売り出し、ヒット商品にした。

 飛躍する一丁目一番地であるアリナミンを売却することについて、一部の創業家やOB株主などが猛反発した。

 創業家出身の7代目社長、武田國男は2003年に会長に退くにあたり、後任社長に長谷川閑史を指名した。ドイツに3年、米国に10年駐在した国際派だ。國男から託された使命は、「医薬品に特化した専業メーカーとして、世界のトップ10入りを果たすこと」である。

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