著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

アリナミン製薬(上)武田薬品から離れ生々流転…ファンド間で転売される

公開日: 更新日:

 長谷川はその使命を達成するため、外国人経営者をスカウトした。

 14年6月27日、1781(天明元)年の創業来、初めて外国人社長を選ぶ株主総会が開かれた。英製薬大手グラクソ・スミスクライン出身のフランス人、クリストフ・ウェバーを取締役に選任する議案を審議した。4月、最高執行責任者(COO)として入社していた。

 ウェバーは世界のトップ10入りを果たすため、大型買収に打って出た。

 19年1月、アイルランドの製薬大手シャイアーを子会社にすることを完了した。売上高3兆円を超える日本初のメガファーマが誕生したが、買収総額は日本企業として過去最大の6.2兆円に上った。

 かつて無借金経営を誇った武田薬品は、巨額買収で財務が大幅に悪化した。有利子負債を削減するため、過去のしがらみがない社長のウェバーは次々と事業を売却した。創業の地である大阪・道修町の本社を売り払った。次に武田の代名詞となっていたアリナミンを含む大衆薬事業を売ってしまったのである。

 クリストフ・ウェバー体制が何をもたらしたかを検証する。=敬称略 (つづく)

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