外食はスタバもマックも減収なのに…「サイゼリヤ」が過去最高益を叩き出した秘密

公開日: 更新日:

 だがそれだけでは、過去最高益とはなかなかならない。そこには別の大きな理由がある。実際、国内に限れば営業利益は約15億円の赤字なのだが、これをカバーして余りあるのが、中国・台湾・シンガポールのアジア事業だ。特に約500店舗を展開する中国を中心に、会社全体の約8割にも当たる約116億円の営業利益をこの地域で稼ぎ出しているのだ(前期比約37%プラス)。

 中国といえば世界的なインフレとは別に、コロナ禍からの立ち上がりが悪かったところに、不動産バブル崩壊もあって個人消費が大幅ダウン。「貧乏人セット」なる、3元(約60円)の朝食に人気が出るほど、デフレ経済真っただ中だ。つまり同社は、インフレにも価格据え置きで対応し、デフレならば独壇場とばかりに強みを発揮しているというわけだ。そしてこの追い風の下、さらなる勝負を仕掛けようとしている。

「中国では1000店舗の出店を目標に、広州の工場建設は既に着工されています。また国内でも、岐阜県で新工場を稼働させるべく、10月17日には地元の地権者らと覚書を交わしました。同社は23年5月に青森・五所川原市に初出店したかと思えば、既に5店舗を展開するなど、地方の出店攻勢に出ています。岐阜の工場建設では、まだまだ手薄な東海・北陸の出店を増やし、10年後には現在の1000店舗から1500店舗にするとしています」(産業経済紙記者)

 インフレの厳しい経済環境の下、捨てる神がある一方、拾う神もあるといったところか。

(ジャーナリスト・横関寿寛)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中日・井上新監督が抱える「中田翔」というジレンマ…復活に期待も世代交代の障害になりかねない

  2. 2

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  3. 3

    佐々木麟太郎の注目度・待遇はメジャー級 “大谷の母校の監督の息子”で試合運営側が忖度も?

  4. 4

    百田尚樹代表《終わったら全部言う!》宣言 日本保守党3議席獲得で飯山陽氏との“暗闘”どうなる?

  5. 5

    自民・小泉進次郎氏は「選対委員長辞任」でさっさとトンズラ…選挙期間中の“食レポ”にも批判が殺到

  1. 6

    国民民主の躍進予想に水差す醜聞…千葉5区出馬の新人・岡野純子候補に「政治とカネ」疑惑

  2. 7

    年収5000万円もありながら“2つの病”に勝てなかったジャンポケ斉藤慎二の転落

  3. 8

    伊藤美誠がパリ五輪シングルス代表絶望で号泣…中国も恐れた「大魔王」はなぜ転落したのか

  4. 9

    共産党は“裏金スクープ連発”で自民惨敗させるも議席減…強まる《政党名変えたら?》に党の見解は

  5. 10

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」