稀代の大実業家・稲盛和夫氏はなぜ子供たちに「利他」の重要性を伝えたのか?
心は放っておくと雑草が生い茂る
では、この自分だけよければいいという利己的な心を抑え、利他的な美しい心を発揮していくには、どうすればよいのでしょうか。
そのことについて、前に紹介したイギリスの哲学者ジェームズ・アレンは、人間の心を庭に例えて、次のように表現しています。
読ませてもらいます。
人間の心は庭のようなものです。それは知的に耕されることもあれば、野放しにされることもありますが、そこからは、どちらの場合にも必ず何かが生えてきます。
もしあなたが自分の庭に、美しい草花の種を蒔かなかったなら、そこにはやがて雑草の種が無数に舞い落ち、雑草のみが生い茂ることになります。
すぐれた園芸家は、庭を耕し、雑草を取り除き、美しい草花の種を蒔き、それを育みつづけます。同様に、私たちも、もしすばらしい人生を生きたいのなら、自分の心の庭を掘り起こし、そこから不純な誤った思いを一掃し、そのあとに清らかな正しい思いを植えつけ、それを育みつづけなくてはなりません。(『「原因」と「結果」の法則』サンマーク出版より)
このようにジェームズ・アレンは言っています。つまり、人間の心というものは、自分で手入れをしなければならないのです。放っておいたのでは、雑草が生い茂る庭のようになってしまいます。すばらしい草花がきれいに咲いた庭のような美しい心にするためには、自分の心の状態をよく確認して、手入れをする必要があるということを彼は説いています。
雑草の生い茂る心のままに人生を生きていったのでは、その人の人柄もひねくれた意地悪な性格の人間になっていきます。同時に、そういう悪い人間性を持った人の周囲には、その人間性に合ったように、波瀾万丈で困難なことが次々と起こってくるようになります。
一方、きれいな美しい心で生きていく人は、すばらしい人間性、人柄、人格になると同時に、その人の周囲にも、その人間性、人柄、人格に合ったような、すばらしい出来事が起こってきます。仕事も順調にいき、会社も繁栄し、豊かで平和な家庭が築けるといったように、すばらしい環境が周囲にできてくるわけです。
心に抱く「思い」というものは、それほど偉大な力を持っているのです。