北陸新幹線の大阪延伸は大混乱の極み…京都の仏教会も「千年の愚行」と一喝
京都府酒造組合連合会、伏見酒造組合も猛反発
しかし、京都ルートには昨年12月、京都府酒造組合連合会、伏見酒造組合も動いた。「地下水脈の遮断や水質の変化、井戸の渇水などが危惧される非常事態」であり、地下水に影響が出ないルートを求める要望書を京都府と京都市に提出した。
1100の寺院で構成される京都仏教会(有馬頼底理事長)も後を追うように懸念を表明。京都府市に「尊い自然は決して人の支配の対象ではない」と「千年の愚行」と再考を申し入れた。
2001年から京都市内で延伸問題を調査し、反対運動を続けている石田紀郎・元京都大教授は、「酒造組合や仏教会が動くとは思わなかった」と話す。与党プロジェクトチームの西田委員長は、京都にはすでに地下鉄が走っており、地下水が抜ける恐れはないと説明しているが、石田元教授は疑問視する。
「リニア工事では岐阜県や名古屋で農地の水が抜けている。さらに京都ルートの場合、トラック100万台以上に及ぶとされる、掘った土砂をどこに運ぶのか。東海道新幹線は東京や大阪に港があったからできたが、京都府には舞鶴港しかない。さらに延伸工事では環境基準を超えるヒ素が出る懸念もある」
これでも「千年の愚行」を推進するのか。
(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)