新築マンション市場の調整期で注目…常設型モデルルームで「バーチャル化」が加速する要因
■豪華なモデルルーム文化は時代遅れ?
マンションのモデルルームは1970年代後半に「ライオンズマンション」で知られる大京が最初に始めたものとされ、建物の完成前から物件を販売することで、デベロッパーは工事資金の一部を前受け金として確保でき、資金繰りの安定化が図れた。また、販売状況を見ながら段階的な価格設定を展開できたのも大きい。
購入者側も、内装やオプション設備の検討時間を十分に取れるメリットがある。
しかし、一等地での用地確保や内装工事には多額のコストがかかり、さらに賃料も相場を上回る水準を要求されるのが一般的だった。撤去費用も含め、販売経費を押し上げる要因となってきた。
大手デベロッパーの社員は「これまでは豪華なオプションの『盛ったモデルルーム』で購入意欲をあおる手法が主流だったが、実際の引き渡し物件との差異がSNSで指摘されるなどやり過ぎも問題になった。新築物件は希少性も高く、放っておいても売れる状況だ。豪華なモデルルーム文化は時代遅れかもしれない」と語る。