くら寿司は「再導入」発表で急騰→ストップ高に…株主優待が外食産業の株価を左右する裏事情
「プライムなどに市場区分を変えた22年の東証改革では、23年3月に『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』を要請しました。それで株主優待を廃止する企業が続出したんです。くら寿司の優待廃止もこの流れの一つ。外国人株主には優待のメリットがないため廃止になった。一方で、東証は各市場区分に多くの株主を獲得し、流動株式比率を上げるよう、25年3月末までの経過措置を経てから、目標未達企業は上場廃止するとしていた。そこで株価対策も含めて駆け込みで優待を新設・復活させる企業がこのところ増加しました。くら寿司はその最たるもの。外食産業の優待は、株主にわかりやすいメリットとなりますから」(証券会社社員)
■どうせ投資するなら“タダ飯”も食らいたい!
弱い日本市場をより強く!そんな東証の小難しい理屈はともかく、どうせ投資するなら“タダ飯”も食らいたい。そんな分かりやすい理屈で結局、外食の株価は左右される。事情は他の外食も同じだ。
「優待人気の代表格でもあるすかいらーくHDでは、『100株以上で6000円~最大で6万9000円』の優待を、コロナ禍もあった20年に半分から3分の2まで優待の“改悪”を行った結果、株価が大幅に下落したということがありました。例外が、サイゼリヤです。同社はコロナ禍でも値上げしない神対応が話題となりましたが、昨年7月に優待を廃止して個人投資家には激震が走りましたが、後に機関投資家の海外勢が買い支え、むしろ反騰するという現象が起こりました」(同)
結局は資本政策の是非が、中長期で株価の評価につながるというわけだが、とりわけ外食は個人と機関投資家の間で利害が真っ向対立する。食い物の恨みは恐ろしい、というのは今も昔も変わらないということか。
(横関寿寛/ジャーナリスト)