「転職者は急増」なのに「人材派遣会社は倒産」が増えているワケ
さらに、「リーマン・ショック後に不本意な就職を強いられた世代が、新たな職場を求めていること。また転職支援サービスが充実し、ビジネス向けSNSや転職支援サービスのアクセスで求人情報や転職先の情報を安易に得ることができることも転職者が増加している背景です」としている。
潜在的な転職者である転職希望者は1000万人と前年比7万人減り8年ぶりに減少したが、正規から正規への転職希望者は増え続け、10年前の2倍近い600万人に達する勢いだ。
■「人材関連サービス業」の倒産は過去10年間で最多
人手不足から転職が増え続ける一方、人材派遣業など「人材関連サービス業」の倒産が増加中だ。東京商工リサーチによると2024年度4~2月の合計は92件(職業紹介業21件、人材派遣業71件)と、前年同期比10.8%増加し過去10年間で最多となった。転職市場の活発化と人材関連サービス業の倒産増加はまさに皮肉な状況。先の小方氏がこう指摘する。
「転職希望者の増加で人材派遣会社が増えた一方、実際の転職者は一部で、設立時のもくろみが外れたことや過当競争の結果です。企業が求める人材を提供できる人材派遣会社は大手に集中する傾向が強く、人材確保が難しい中小企業の淘汰が進んでいる状況です」
人口減少が進むなか、適材適所の人材配置はますます重要性を増しているのだが。
(ジャーナリスト・木野活明)